ある晴れた夏の日の放課後。
私、朝倉音姫は今日も生徒会の仕事に励んでいます。
生徒会の仕事は大変だけれど、今はむしろ楽しみでもあるんです。
えっ?どうしてかって?それは…
義之「音姉ぇ~!これ何処に運んでおく?」
音姫「あっ、え~と…体育館の第一倉庫にお願い」
義之「了~解!」
そう…大好きな弟くんと一緒だからなんです。
とても…とても…大切な人。
音姫(大好きだよ…弟くん)
体育館に向かう弟くんの背中を見つめながら、心の中で私は言いました。
―――しばらくすると、弟くんが帰って来ました。
音姫「お疲れ様♪弟くん」
義之「あぁ、他に運ぶものとか無いかな?」
音姫「ううん、後はまゆきと私で大丈夫だから♪」
義之「そっか…じゃ、ちょっと休もうかな」
音姫「うん、それが良いよ♪今、お茶入れるね♪」
ちょうどそんな時…
ガララッ―――
と勢い良く扉が開くと私の親友であり、パートナーが顔を出しました。
まゆき「よっ!音姫に弟くん」
義之「あっ、まゆき先輩。お疲れ様です」
音姫「まゆき、お疲れ様♪」
まゆき「『お疲れ様♪』じゃないでしょ!何が『後は私とまゆきで大丈夫だから♪』なのよ?」
義之「えっ?」
まゆき「まだ、全体の半分も整理出来てないんだから」
義之「そうなんですか?」
まゆき「そうだよ~…ホント大変なんだから」
音姫「あははは…でも、まだ時間あるしゆっくりやっても大丈夫だよ~♪」
まゆき「はぁ~…音姫ったら、ホント弟くんには甘いんだから…」
音姫「そんなことないよ~♪」
義之「って音姉!俺の分だけお茶請けが多いから!」
まゆき「はぁ~…何か最近は甘やかし加減にさらに拍車が掛かっている気がするんだけど…」
義之「あはははは…」
そんなやり取りをしていた時でした…
キーンコーンカーンコーン―――
キーンコーンカーンコーン…
放課後の下校時刻を知らせるチャイムが鳴りました。
音姫「さて…時間も時間だし、一息ついたら帰ろうよ♪」
まゆき「そうだね…ま、今日はこの位にしておこうかな?」
義之「了解。まゆき先輩、明日は助っ人(もとい道連れ)を連れてきますよ」
まゆき「おっ、それは頼もしいね♪」
義之「はい!任せて下さい」
まゆき「でも、正直弟くんが手伝ってくれて助かってるよ」
音姫「ホントホント!さすがは弟くんだよね♪」
義之「あはは!こんな俺で役に立てるなら光栄ですよ」
まゆき「ま、でも、ほとんどは音姫の為なんでしょ?」
突然、まゆきが突拍子も無いことを言い出しました。
私は一瞬意味が分からなかったのだけれど、徐々に理解していくうちに顔が真っ赤になってしまいました。
弟くんの方を見ると、やっぱり同じ様子でした。
そして―――
音姫&義之「な、何言ってるの!?」「な、何言ってるんですか!?」
見事に弟くんとハモったのでした。
まゆき「あははは!ほんの冗談だって!気にしない気にしない!」
音姫「もぅ~…まゆきったら…」
そう言いながらも私の心は弾んでいました。
実際、弟くんはいつも私を気に掛けてくれているし、今のやり取りでそれをもっと感じられたんです。
まゆき「さ~て…あたしは今日は急いで帰らなきゃいけないからまたね!」
義之「お疲れ様です。まゆき先輩」
音姫「またね♪まゆき」
そんなこんなで今日一日が終わって行きます。
もちろん、帰り道は弟くんと腕を組んで帰ります。
明日も明後日もこんな日が続くと良いなと思いつつ、弟くんの横顔を見つめる私。
義之「ん?どうしたの?音姉」
音姫「もう離れないでね?弟くん」
義之「あぁ、今度こそ約束を守るよ」
音姫「ありがとう、弟くん」
そして私は、今日一番の笑顔を浮かべました…
END
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