MemoriesOff2ndのユーザー参加型SS「MemoriesOff~希望の翼~」

Memories Off~希望の翼~1-1

第一話 楽しい体育祭!?

今日は10月10日──体育の日。俺、白桜の通う浜咲学園高等学校(通称:ハマガク)は、体育祭である。
突然だけど、今俺は大変危機的な状況にある。何故かというと、俺は現在リレーのランナーで、しかも第4走者…アンカーなのだ。
それというのも、同じクラスの田中が俺を推薦したためだ。

白桜:(くっそぉ~!緊張する…覚えてろ!田中~)

心の中で悪態をつきつつ、応援席を見る…。
すると、クラスの看板よりも大きいであろう旗を掲げている、クラスメイトの女子の姿が目に入る。というか目立っていた。
彼女の名前は、白河ほたる。少し前に、伝説を作ったカップルの片割れだ。
伝説については、おいおい語るとして…彼女の持っている旗には、゛健ちゃんファイト!゛と書いてあった…

白桜:「全く、どこまでも恥ずかしい連中だ…まさに、バカップル…」

゛健ちゃん゛とは、同じクラスの伊波健のことである。そう、伝説のバカップルのもう一人だ。
で、その伊波だが、今彼はもの凄く活躍している。
第2走者までビリだった我がクラスが、第3走者の伊波にバトンが渡ってから、何とトップに踊り出た。愛の力だな…ってのんきな事言ってる場合じゃないな。

───ドクン!
──ドクン!

俺の心臓は、かなり高鳴っている。

白桜:(伊波…頼むからあんまりプレッシャーを掛けないで欲しい…)

そんな願いも虚しく、伊波はトップのままバトンを繋ぐ…
その際、「後は、頼みましたよ!」と言い放った…
俺は、バトンを受け取ると、全速力で走り出した。コーナーを駆け抜け、いよいよゴールだ!あと、50M…40…30…20……ゴール!
結果は、一位だった。
嬉しくて、気分が良かったので、伊波に話しかける。

白桜:「いや~、凄ぇなぁ~…さすが元サッカー部!」

健:「白桜くんこそ!凄かったよ~!」

そんなやり取りをしているうちに、白河が走って伊波に飛びついた。

ほたる:「やったね!健ちゃん。」

健:「ちょっと、ほたる!みんな見てるって!」

ほたる:「だぁってぇ~、嬉しいんだもん。健ちゃんだって、実は嬉しいんだっぺ?嬉しいんだっぺ?なぁ~?」

この二人は、いつもこんな感じだ。
だから、俺もお約束を実行する。

白桜:「二人とも、相変わらずのラブラブっぷりだね!」

健:「白桜くん!茶化さないで下さい…」

Memories Off~希望の翼~1-2

前回の続き☆

白桜:「だって、本当の事だろ?」

健:「うっ…」

ほたる:「健ちゃん…そんなにほたるのこと嫌なの?」

白河が泣きそうな顔で伊波に詰め寄る。

健:「そんなことないよ!僕は、ほたるが大好きだよ」

健がすかさずフォローを入れる。

ほたる:「わ~い!だから健ちゃん大好き!」

そして、また抱きつく…伊波は抵抗を諦めたようだ。白河の成すがままになっている。

白桜:(頑張れよ…伊波…)

心の中でエールを送る。すると、ある女性がこちらへ近づいて来た。

???:「健くん、おめでとう…」

健:「つばめ先生、ありがとうございます。」

この人は、南つばめさん。この夏に、臨時講師としてこの浜咲学園に来たんだけど、二学期からは正式に採用された。
実は、俺白桜はこの人の事が気になっている。
何故かというと──俺、白桜は…この夏受験を迎え、必須課目の現国を履っていた。そして、最初の授業でつばめ先生は俺達にこう言ったのだ──

つばめ:「私のする授業は、この世で最も不毛なもののひとつです。──」

白桜:(な!?)

つばめ:「そもそも全ての授業は、あなた達に何ももたらしてくれません…」

白桜:「………」

つばめ:「…だから、今すぐ教室を出て勉強を始めて下さい…」

正直あ然とした。
教師の口から、こんな言葉が出てくるとは、夢にも思わなかった。
途中、伊波がいくつか質問したようだが、ショックのあまり覚えていない。

つばめ:「それでは、授業を始めます。テキスト──」

結局俺は、授業を受けた。先生の授業は、とても分かりやすく、他のどんな授業よりも面白かった。そして、彼女の授業を受けるうち、いつしか俺は、彼女に尊敬の念を抱くようになっていた。
そして、現在もその気持ちは変わらない───そう思っていたのだが、俺は彼女の言動・行動に魅了されていた事に最近気付いた。
これは、恋なのだろうか?
最近、その事で自問自答している。
そんなことを考えているうちに、先生が俺に話しかけてきていた…

つばめ:「──くん、白桜くん」

白桜:「あっ、何ですか?つばめ先生。」

つばめ:「大丈夫?何か上の空だったみたいだけど…」

白桜:「すいません。ちょっと考え事をしてたんですよ」

辺りを見渡すと、いつの間にか白河も伊波もいなかった。

つばめ:「悩み事?私で良ければ、相談に乗るわよ?」

Memories Off~希望の翼~1-3

正直、先生に相談出来る内容では無いけど、話が出来るチャンスだと思い、俺はこう答えた。

白桜:「じゃあ、お言葉に甘えさせて戴きます…」

つばめ:「場所を変えましょう。私に、ついて来て下さい…」

俺は、無言で頷くと彼女の後に続いた…

Memories Off~希望の翼~2-1

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──────。
────────。

しばらく歩いて行くと、校庭の角にあるベンチにが見えてきた。

つばめ:「ここで、ちょっと待っていて下さい…」

そう言うと、つばめ先生は体育館前にある自販機まで歩いていった…

つばめ:「はい…どうぞ。」

つばめ先生は、コーヒーを買ってきてくれたようだ。

白桜:「ありがとうございます!ってなんじゃこりゃ!?」

つばめ:「もの凄~く苦いコーヒーよ…」

白桜:「叫ぶほどの苦さって…どんな苦さだよ…」

つばめ:「さぁ?」
白桜:「……………(ゴクッ)」

一口飲んでみた。

白桜:「ん?別になんともな───」

その時、じわじわと苦さが伝わって来て…

白桜:「苦っ!!」

つばめ:「やっぱり、叫ぶのね…」

白桜:「何なんですか!?コレ」

つばめ:「新発売…ゴーヤ入りコーヒーと書いてあるわ…」

白桜:「先生は、大丈夫なんですか!?…苦っ!!」

つばめ:「私はレモンティーだから…」

白桜:「!!……謀りましたね?」

つばめ:「別に謀ってはいないわ…」

白桜:「苦っ!!…ちょっと水を飲んできます!!」

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───。

白桜:「ふう…何とか治まった」

俺は、戻ってくると、ベンチへ倒れ込んだ…

つばめ:「大丈夫?」

白桜:「おかげさまで…大丈夫じゃありません」

つばめ:「日本語がおかしいわよ?白桜くん」

白桜:「誰のせいですか!!」

つばめ:「良かったわ…元気になったみたいで…」

白桜:「これが、元気に見えるんですか?」

つばめ:「ところで、白桜くんの悩み事とは何ですか?」

白桜:「(話そらされたな…ま、いっか…)この前の授業の事なんですが…」

俺は、本題には入らず、当たり障りの無い話から始めた。しかし…

つばめ:「白桜くん?」

白桜:「はい。何でしょう?」

つばめ:「こういう事は、授業中に聞くものなんじゃないかな?」

白桜:「ダメですか?」

つばめ:「ダメではないけど、あなたがしたい話はこんな事では無いでしょう?」

白桜:「あはは…バレちゃいましたか…」

Memories Off~希望の翼~2-2

さすがに、鋭い。
この人は、やっぱり凄い人なんだな。
最近分かった事だけど、つばめ先生は無愛想で冷静沈着に見えるが、実はかなりの人情家である。
この人は、もの凄く生徒思いの先生だ。俺の中では、浜学一だ。なので、観念して悩みを打ち明ける…

白桜:「実は──」

俺は、つばめ先生本人に繋がる事は伏せて、話した。

つばめ:「…なるほどねぇ…。で、白桜くんはどうしたいの?」

白桜:「……告白したいです。」

つばめ:「なら…告白すれば良いんじゃない?」

白桜:「でも…先生と生徒ですし…」

つばめ:「そうねぇ…だけど、あなたがその人の事を本当に好きならば、告白するべきだと思うわ」

白桜「でも、どうすれば…?」

つばめ:「確かに…立場の上では障害はあるかも知れないけど、付き合う方法はいくらでもあるわ」

白桜:「方法ですか…?」

つばめ:「そう。まぁ、いずれにせよ告白しなければ、何も始まらないと思うけど?」

白桜:「………そうですね!あぁ、でもどうやって告白すれば…」

つばめ:「さぁ?それは、自分で考えて…それじゃ、私はそろそろいくわね?」

白桜:「あっ、はい。ありがとうございました!」

つばめ:「白桜くんは、このあと棒倒しでしょ?がんばりなさい」

白桜:「は、はい!ありがとうございます!」

つばめ:「私は、これから職員対抗の綱引きがあるから…」

白桜:「はい!頑張って下さい!」

つばめ先生は、振り返らずに歩いて行った。

白桜:「そういえば、棒倒しの事なんかすっかり忘れていた。あぶないあぶない…」

そんなことをしているうちに、一人の男が近づいて来た。

???:「よ!な~にしてるんだよ。白桜」

白桜:「ん?翔太か…別に何もしてないぞ?」

コイツは、中森翔太。伊波と同じ元サッカー部で、リーダー的存在だったらしい。その性格は、明朗快活の爽やか青年だ。中森とは、入学以来の親友だ。

翔太:「ウソ付け!おもいっきりさっき話してただろ!」

白桜:「見られてたのか…恥ずかしいな」

翔太:「いや…俺も今さっきたまたま見かけたんだよ。ちょうど、先生が離れていくところだったよ」

白桜:「そうなのか…良かった」

翔太:「で、先生と何話してたんだ?」

白桜:「な、何でもないから気にすんな」

Memories Off~希望の翼~2-3

翔太:「そっか…まぁ、話したくないなら無理には聞かないけどさ」

翔太のこういう気の利くとこは好きだ。これまで、親友でいられるのもこの部分が大きい。

白桜:「サンキュー。話したくなったら話すからな」

翔太:「分かってるって!それより、そろそろ出番らしいぞ?」

白桜:「そうだった!じゃあ、行くか?」

翔太:「おう!」

俺たちは、グランドへと戻る。
すると、伊波がこちらへ駆け寄ってきた。

健:「二人とも遅いよ~、何してたの?」

翔太:「悪い!ちょっと野暮用でな」

白桜:「悪いな伊波…つばめ先生に変なもの飲まされて、体調が優れなかったから休んでたんだ…」

健:「それってまさか…ゴーヤ入りの?」

白桜:「そうだ。何で知ってるんだ?」

健:「いや…僕も飲まされたことがあるんですよ」

白桜:「同志だな!」

健:「はい!」

伊波…いや、健とガッチリ握手を交わした。

翔太:「なんだよ?二人して…」

翔太が不思議そうな顔をしている。

翔太:「それより、そろそろ始まるから準備しろよ?」

健:「うん!」

白桜:「分かった」

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棒倒しは、苦戦したが、何とか2対1で勝てた。
そして、この後は女子によるダンスだ。

白桜:「うちのクラスは、どこかな?」

俺たちは、応援席に帰ってくる。
辺りを見回していると、健の彼女の白河ほたるが隣の健に向かって手を振っているのが見えた。

ほたる:「お~い!健ちゃ~ん!ほたるの事見ててね~?」

こういうしぐさは、確かに可愛い。少し健が羨ましい気もしてくる。なので、少し意地悪を言ってみた。

白桜・翔太:「お~お~…見せつけてくれちゃってまぁ…」
翔太とバッチリ声がハモった。

健:「二人して、茶化さないで下さい!」

白桜:「さ~て…」

翔太:「邪魔者は消えますかね~」

健がガックリしている。少しやりすぎたかもな…

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しばらくして、女子のダンスが終わり白河が姿を見せた。

ほたる:「健ちゃん、みんな、ほたるのダンスどうだった?」

白桜:「白河、良かったよ!」

翔太:「ほたるちゃんらしい、可愛いダンスだったと思う」

ほたる:「翔たん、白桜くん、ありがとう♪健ちゃんは?」

健:「言葉に出来ない位、良かったよ!」

Memories Off~希望の翼~2-4

ほたる「わ~い!だから健ちゃん大好きぃ~♪」

すかさず抱きつく白河…健はやっぱりなすがままだ。

翔太:「相変わらずのラブラブっぷりで安心したぞ!」

健:「翔太…」

白桜:「まぁ、良いじゃないか、可愛い彼女なんだから大切にしろよ?」

俺は、この二人に何があったかは分からない…だけど、翔太からは色々苦労したらしい事は聞いているし、前に白河のピアノを聞かせてもらったときに感じたんだが、想いの深さはかなりのものだと思う。故に、この二人には幸せになってもらいたいと思っている。

白桜:(俺も頑張んなきゃなぁ~)

幸せそうな二人を見て、俺は決心した。

白桜:(よし!明日、つばめ先生に告白しよう!とその前に翔太に相談でもするかな?)

白桜:「翔太ぁ~、今日終わったらちょっと付き合ってくれないか?」

翔太:「ん?話か?いいけど、今じゃダメなのか?」

白桜:「大事な話なんだ…」

翔太:「…分かった。じゃ、終わったら自転車置き場で待ってるよ」

白桜:「悪ぃな…」

翔太:「気にすんなって!」

こうして俺は、翔太と約束をした。

Memories Off~希望の翼~3-1

第3話 翔太の告白

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───。

体育祭も終わり日が傾く頃、俺は約束の場所へと向かっていた。あっ、そうそう結果はウチのクラスが優勝…白河と健は…まぁ、ご想像にお任せする。

白桜:「よっし!着いたな」

辺りを見回して、翔太を探す…とそいつはすでに焼却炉の横に立っていた。

翔太:「よっ、遅かったな!」

翔太がポンッと肩を叩く。

白桜:「待たせたのか?悪いな…」

翔太:「罰として、クィクィ星人のUFOをくれ!!」

白桜:「おいおい、勘弁してくれよ…」

翔太:「あはは!冗談だって!」

白桜:「まったく…」

翔太:「悪かったよ。で、話ってなんだ?」

白桜:「実は、南先生の事なんだ…」

翔太:「南先生の事?」

気のせいか、翔太の顔つきが変わったような…

白桜:「そうだ…告白しようと思ってる…」

翔太:「………!!」

今度は、確実に動揺しているのが明らかだった。

白桜:「翔太…どうした?顔色悪いぞ?」

翔太:「………。」

白桜:「翔太?」

翔太:「良いか?白桜…これから話す内容は、他言無用だ…約束出来るか?」

翔太は、今までに見たことのない真剣な眼差しで俺を見ている。

白桜:「分かった…」

すると翔太は、鬱いと自嘲の入り混じった表情で話始めた…

翔太:「俺は小学校の時澄空FCにいて、ライバルだったジェッツとよく試合したもんだった…」

白桜:「ちょっと待て翔太…その話が何で南先生と関係あるんだ?」

翔太:「まぁまぁ…話は最後まで聞いてくれよ。な?」

白桜:「分かったよ…で?」

翔太:「ある日、帰りに乗ったシカ電で彼女…南つばめに出会ったんだ…最初俺は、綺麗な姿に見とれていたんだが、彼女の絶望に満ちた表情を見たと き…子供ながら守ってあげたいと思ったんだ…そして気付いたら俺は、彼女の手を取り駆け出していたんだ。向かった場所は、健の住む朝凪荘。だから、あそこ にはその時の思い出が残っているんだ。とにかく、俺と彼女はその時とても幸せだった…しかし、それも長くは続かなかった。彼女の父親が現れ、彼女を連れ 去ってしまったんだ…その時俺は必死に抵抗したが、大人の力に勝てるはずもなかったんだ。去り際に彼女が見せた、悲しい表情を今でも覚えている。その時俺 は誓ったんだ…いつか必ず彼女を救い出すと!」

Memories Off~希望の翼~3-2

翔太の話を聞き終えた俺は、あまりのショックに言葉を失っていた…

白桜:「………。」

翔太:「どうした?白桜…黙るなよ…」

白桜:「翔太…良く頑張ったな…我慢するなよ。な?」

翔太:「うっ…うぅ…」

この時、俺は親友の本気で泣く姿を初めて見た気がする。いつも明るいクラスのムードメイカーの、意外な一面だった…

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───。

しばらくして、翔太の嗚咽が治まり、再び翔太が口を開いた。

翔太:「あ~ぁ!みっとも無い所を見せちまったな~」

いつもの爽やかな笑顔を浮かべて、翔太は言った。

白桜:「気にすんなよ~!親友だろ?」

翔太:「おぉ~!心の友よ~」

翔太は、大袈裟にわざとらしく言った。

白桜:「なんだそりゃ?ははは~!」

翔太・白桜:「はははははは…!」

2人で、ひとしきり笑い合った後、俺は言った。

白桜:「翔太…俺も色々考えたんだが、やっぱり南先生の事は好きだ。だから、諦めないぞ?」

翔太:「おう!諦めるなんて言ったら、ぶん殴っているところだ!これからは、親友兼ライバルだ!」

翔太は、いつもの屈託のない笑顔でそう言った…だから、俺はこう言ってやったんだ。

白桜:「そうだな…さっそく明日告白するか!翔太には負けないぞ~?」

翔太:「俺も白桜には負けない!あと、お互い恨みっこは無しな!」

白桜:「分かってるって!」

そして俺たちは、取り留めの無い話をして帰路に着いた…

───。
─────。
───────。

そして翌日───俺は職員室に寄り、つばめ先生に出された課題と一緒に一枚のメモ用紙を渡した。先生は、不思議な顔をしながらもそれを受け取った。

そして昼休み───先生は、約束の場所で待っていてくれた。例の校庭脇のベンチだ。

つばめ:「こんにちは…白桜くん」

白桜:「こんにちは!南先生」

つばめ:「ところで、大事な話って?」

白桜:「この前の話を覚えていますか?」

つばめ:「ええ…好きな女性の事ね?」

白桜:「そうです!実はあれ…」

つばめ:「私の事でしょ?」

白桜:「え!?」

つばめ:「うすうすは、感づいていたわ…」

白桜:「何故、分かったんですか?」

Memories Off~希望の翼~3-3

つばめ:「まず第一に、現国を教えている教師は私を含めて3人しかいない…第二に、その中で女性教師は私ともう一人だけ…そして、決定的なのは夏に来た臨時講師は2人だけ…」

白桜:「バレバレだったんですね…いや、とにかく!俺は、先生が好きなんです!あの夏からずっと…」

つばめ:「ついさっき…翔太くんにも、告白されたの…」

白桜:「そうなんですか…」

つばめ:「ビックリしたわ…あの時の少年が翔太くんだったなんて…」

つばめ先生は、悲しい笑みを浮かべていた…だから、俺は…

白桜:「俺は翔太の様にはなれないですけど、あなたへの気持ちは負けないつもりです!だから、俺と付き合って下さい!」

つばめ:「…………白桜くんの気持ちは正直嬉しい………でも、私は…」

気が付くと先生は泣いていた…俺はどうしていいか分からず、先生の嗚咽が治まるまで待った。

白桜:「最低ですね俺…自分の事しか考えていなくて…」

つばめ:「…そんなに自分を責めないで?私はね…本当に嬉しかったの…でも、怖いのよ。幸せが壊れる瞬間が…」

白桜:「………。」

つばめ:「私は──」

それから俺は、終始先生の話を無言で聞いていた…部屋に監禁されていた事や、実の父親に母親の身代わりにされていた事など、俺の想像をはるかに超えるものだった。

つばめ:「────だから、私にもう少し考える時間を下さい…」

白桜:「そうですか…分かりました。俺が必ずあなたの希望の翼になります!それでこの話は、翔太にもしたんですか?」

つばめ:「えぇ…」

白桜:「そうですか…そうしたら俺は、夕暮れの朝凪荘のクスノキの下で待っています」

つばめ:「ふふ♪翔太くんと全く同じね♪」

つばめ先生がクスリと笑った。

白桜:「え?そうなんですか?って言うか先生今笑いましたよね?」

つばめ:「そうね…何年振りかな?」

白桜:「先生…絶対そっちの方が良いですって!」

つばめ:「そうかな?ふふふ♪」

白桜:「と、とにかく!待っていますからね!」

つばめ:「うん…分かったわ」

先生の笑顔は可憐で美しかった。俺は恥ずかしさのあまり、その場から駆け出してしまっていた。心臓は、毎秒四回のペースで脈打っていた…

Memories Off~希望の翼~4-1

最終話~希望の翼~(白桜編)

あれから、一週間がたった。ここのところつばめ先生は学校を休んでいる。健に頼んで朝凪荘にも行ってみたが、204号室にはつばめ先生の姿は見当たらなかった。

白桜:(つばめ先生は、何処に行ってしまったんだろう…)

俺は、不安ながらも先生の言葉を信じて待つことにしていた。翔太はというと、教室の窓の方を見てぼーっとしている。

翔太:「……………」

白桜:(無理もないか…)

翔太もこの一週間つばめを探し回っていたみたいだった。しかし、やはり見当たらなかったらしい…

白桜:「ふぅ…」

俺は、ため息を付き授業へと意識を向けた。

───そして、昼休みになり学食を食べに行こうとした時、突然健に呼び止められた。

健:「白桜くん、ちょっといいかな?」

白桜:「何だ?健。俺はこれから戦争に行かなきゃいけないんだが…」

健:「ドコの軍隊ですか!!…じゃなくて、大事な話があるんです」

白桜:「…その…なんだ…健の気持ちは嬉しいが、俺にはそんな趣味は…」

健:「あ・り・ま・せ・ん!!」

ほたる:「え!?健ちゃん、白桜くんの事好きなの?ほたる、どうしよう…」

健:「違うよ!!ほたる!!…って、言わなくても分かるだろ?」

ほたる:「分かんないよぉ~?ほたる、健ちゃんの事まだまだ全部知らないし~…」
健:「僕は、ほたるだけだよ…だから、今は白桜くんに大事な話をさせてよ」

ほたる:「わぁ~い♪だから健ちゃん大好き☆」

健:「はぁ…」

ほたる:「ごみんごみん♪ちょっと、健ちゃんをからかってみたかったんだぁ~☆」

恒例のラブラブっぷりを見せつけられ、俺は呆然としていたけど、このままじゃラチが空かないので、先を促す。

白桜:「ところで、重要な話って何だ?」

健:「そうですね…ココでは話辛いから屋上にでも行きませんか?」

白桜:「健…やっぱりそうなのか…そんなに俺の事が…」

健&ほたる:「もう、いいですよ!!」「もう、 いいよぉ~!!」

2人に突っ込まれる。仕方ない…そろそろホントに本題に入るかな。

白桜:「はぁ…分かったよ。行くよ」

俺は、大好物の焼きそばパンを諦め、健たちについて行った。

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Memories Off~希望の翼~4-2

しばらくして、屋上に着いた。すると、白河が角の方にレジャーシートを敷き、ランチボックスを用意し、健が俺をシートへと誘導する。

健:「白桜くん、ココに座っていいですよ」

白桜:「健よ…ココは君達の私有地ではないぞ?」

ほたる:「まぁまぁ♪細かいことは、気にしない気にしない☆」

白桜:「白河がそう言うなら、まぁ良いが…」

健:「僕は?」

白桜:「ダメ」

健:「何でですか!?」

白桜:「何となくだ」

健:「からかわないで下さい!!」

ほたる:「あはは♪健ちゃん、可愛い~☆」

健:「ほたるまで…」

ほたる:「あっ、白桜くん。コレ食べて良いよ♪」

白河がランチボックスを差し出す。

白桜:「いや、気持ちは嬉しいが、愛妻弁当をもらうわけには…」

ほたる:「愛妻弁当って…やっだぁ~、もう♪白桜くんったら☆」

白河が、照れながら俺の背中をバシバシ叩く。結構イタイ…

白桜:「痛っ!!痛っ!!痛いって白河…」

ほたる:「あっ、ごめんね♪コレ、私のお姉ちゃんが作ったから、大丈夫だよ☆」

白桜:「へぇ~…白河って、お姉さんがいたのか~」

ほたる:「うん♪お姉ちゃんは、料理上手なんだよ☆」

ランチボックスを見ると、確かに凄かった。色とりどりの、サンドイッチが並んでいて、もはや芸術だ。

白桜:「凄いなぁ~…じゃあ、もしかして白河も上手いのか?」

ほたる:「え?ほたる?ほたるはぁ~…頑張ってるよ♪(汗)あっ、そうだ☆健ちゃんには、ほたるが作って来たよ♪」

健:「そうなの?じゃ、そっちをもらうよ」

白桜:「お~お~、見せ付けてくれるねぇ~…2人とも」

健:「だから、茶化さないで下さい!」

ほたる&白桜:「あはははは…♪」

白桜:「ところで、話ってなんだ?」

俺は、サンドイッチをパク付きながら本題を促す。

Memories Off~希望の翼~4-3

健:「そうでした。つばめ先生から、手紙を預かっているんです。これを、白桜くんに渡してくれって…」

白桜:「何!?つばめ先生に会ったのか!!」
健:「直接は会ってないんですけど…朝ポストを見たら、その手紙とメモが書いてあったんですよ。──白桜くんに渡して下さい──って…」

白桜:「そうか…」

ほたる:「…………白桜くんは、本当につばめ先生が好きなんだね」

白桜:「え!?」

ほたる「あはは♪…分かるよ~…白桜くん、つばめ先生の事になると人が変わるもん☆」

白桜:「そうか…バレちゃ~しょうがない!ところで、翔太はもう知ってるのか?」

健:「そうみたいですね。今日会ったら、つばめ先生が朝凪荘に戻って来たのか、聞いて来ましたからね」

白桜:「そうか…俺も頑張らないとな」

ほたる:「ほたるは、複雑だよぅ~…」

健:「そっか~…ほたるは翔太からよく相談されていたんだっけ…」

白桜:「そうなのか…ごめんな白河。でも、俺はつばめ先生が好きなんだ…」

ほたる:「ううん…ほたるも分かるから…好きで好きでしょうがないって気持ち。だから、白桜くんも頑張ってね♪」

白河は、意味深な顔をしてそう言った。

白桜:「サンキューな。白河」

健:「ところで、白桜くんは何で先生を好きになったんですか?」

白桜:「それはな─────」

俺は、先生との出会いから好きになるまでの経緯を簡単に話した。白河も健も、終始真剣に話を聞いてくれた。それからあとは、雑談をしていて、全て片付けが終わった時に、ちょうどチャイムが鳴った。

白桜:「今日は、ありがとな。2人とも」

ほたる:「良いよぉ~☆白桜くんと話せて楽しかったし♪」

健:「そうですよ~。それに、呼び出したのは僕ですから」

白桜:「そうか…じゃ、そろそろ教室に戻ろうか?」

健:「そうですね」

ほたる:「うん♪行こっか☆」

3人とも連れ立って、教室へと戻った。

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俺は、家に帰るとつばめ先生の手紙を読んだ。しかし…

──明日、午後4時。朝凪荘で待っています。南つばめ──

とだけしか、書いていなかった。

白桜:「ははは…つばめ先生らしいや」

俺は苦笑すると、ベッドに身を投げ眠りについた。

Memories Off~希望の翼~4-4

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今日は、つばめ先生との約束の日だ。幸か不幸か学校は休みで、俺は心を落ち着けるために海岸まで来ていた。

白桜:「ふぅ…」

ため息を漏らし海を眺めていると、どこからか犬の鳴き声と少女の声が聞こえてきた。

???:「ちょっと待ってよぉ~…トモヤぁ~!!」

白桜:「あれ?白河じゃないか。どうしたんだ?」

ほたる:「あっ、白桜くん!奇遇だねぇ~♪ほたるはトモヤのお散歩だよ☆」

白桜:「コイツが例のブツか~…どれどれ?」

ほたる:「そうですぜ、ダンナ♪今回のは極上品ですぜ…って、なんでやねん☆ビシビシ!」

白河がおちゃらけたポーズで言う。

白桜:「ぷっ!…はははははは!あははははは…!」

ほたる:「ど、どうしたの?」

白桜:「いや、白河って意外とノリが良いんだなと思ってね。あははははは…!」

ほたる:「そんなに、笑わなくても~…」

白桜:「だって、白河が…なんでやねん!って、あははははは…ひぃ~苦し~」

ほたる:「笑いすぎだよぉ~…恥ずかしいなぁ~もう~」

白桜:「ごめんごめん。ところで、白河は何で散歩なんか?」

ほたる:「今日は、信くんも健ちゃんもバイトなんだ♪それで、トモヤが可哀想だなぁ~って思ってね☆」

白桜:「そうか~…ご苦労様」

ほたる:「ところで、白桜くんは今日つばめ先生と約束してるんだよね?」

白桜:「そうだ。翔太から聞いたのか?」

ほたる:「ううん、翔たんが今日つばめ先生と会うを約束してる事を話してたから…ひょっとしたらと思ってね~♪」

白桜:「そうか、やっぱりな…」

ほたる:「ほたるには、応援しか出来ないけど頑張ってね♪白桜くん☆それじゃあ、まったね~♪」

そう言うと、白河はトモヤに引っ張られながら帰って行った。

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Memories Off~希望の翼~4-5

そして、約束の午後4時になり俺は朝凪荘にやって来た。すると、既に翔太が待っていた。

翔太:「よっ!白桜。遅かったなぁ~」

白桜:「バカ言うな!時間通りだ!」

翔太:「ははは…冗談だって!」

そんなやりとりをしている内に、つばめ先生がこちらにやって来た。つばめ先生はクスノキの木の下まで行くと、僕たちの方に向き直った。

つばめ:「2人とも、お待たせしました」

白桜&翔太:「はい」

つばめ:「私は、あなた達から告白を受けました。そして、色々考えたのです。今日は、その答えを伝えにココへ呼びました」

白桜:「はい」

翔太:「俺達も、その覚悟でココに来ました」

そう言って俺たちは、どちらともなく目を閉じ右手を差し出した。

つばめ:「そうですか…では、私の考えを話しましょう。まず、翔太くん…あなたは、私を導く風となると言ってくれました。そして、あなたがあの時のレモンの少年であることも分かりました。私は、そんなあなたにとても感謝しています」

そう言うとつばめ先生は、一息ついて俺に向き直った。

つばめ:「そして白桜くん…あなたは、私の希望の翼になると言ってくれました。更にあなたは、今の私の事を真正面から受け止めてくれた。そう…あの、メリッサの様に」

つばめ先生は、一旦メリッサを見て俺達の方へと向き直る。

つばめ:「そして、私の結論ですが…私は…」

つばめ先生が、こちらに向かって歩いてくる音がする。俺の心臓は、毎秒3回のペースで高鳴っていた。そして────

つばめ:「白桜くん。あなたを選びます」

俺の手に、つばめ先生の暖かい手が握られた。俺はゆっくり顔をあげると、つばめ先生の顔を見た。

翔太:「良かったな!白桜!」

翔太が祝福の声を上げる。俺は、複雑な気持ちで言った。

白桜:「正直嬉しいよ。でも…」

翔太:「おっと、それ以上は言うなよ。俺が惨めになる。それに俺は、つばめ先生が幸せならそれで良いんだよ」

白桜:「サンキューな。翔太」

翔太:「お礼は、クイクイ星人のメガネで手を打とうじゃないか!じゃあな!白桜」

Memories Off~希望の翼~4-6

そう言うと翔太は、最後まで爽やかな笑顔で去っていった。しかし、俺は知っていた…奴がクイクイ星人の話を持ち出す時は、自分の気持ちを誤魔化しているということを…

白桜:「全く…どこまでも不器用な男だ。ホントに、ありがとな」

つばめ:「そうね…でも、彼なら大丈夫よ。彼には、現実を受け止めて行ける強さがあるわ」

つばめ先生は、そう言うとにっこりと微笑んだ。俺がその姿に魅せられていると、つばめ先生はいきなり俺に口付けをした。俺は一瞬ビックリしたが、そのまま目を閉じつばめ先生の背中に手を回した。

────────────────。
──────────────。
────────────。

長い口付けの後、俺はつばめ先生に言った。

白桜:「つばめ先生…本当に、俺で良かったんですか?」

つばめ:「いいの。それに、[つばめ先生]じゃなくて[つばめ]って呼んで」

白桜:「はい、つばめさん」

つばめ:「う~ん…出来れば敬語とさん付けもやめて欲しいなぁ~」

つばめがからかう様に言う。

白桜:「うっ、つ…つばめ」

つばめ:「何かな?白桜くん」

白桜:「愛してるよ」

つばめ:「私も…愛しているわ」

そして、また2人は長い口付けをした。愛を確かめ会う様に──────

fin…

Memories Off~希望の翼~1-1

第一話 楽しい体育祭!?

今日は10月10日──体育の日。俺、白桜の通う浜咲学園高等学校(通称:ハマガク)は、体育祭である。
突然だけど、今俺は大変危機的な状況にある。何故かというと、俺は現在リレーのランナーで、しかも第4走者…アンカーなのだ。
それというのも、同じクラスの田中が俺を推薦したためだ。

白桜:(くっそぉ~!緊張する…覚えてろ!田中~)

心の中で悪態をつきつつ、応援席を見る…。
すると、クラスの看板よりも大きいであろう旗を掲げている、クラスメイトの女子の姿が目に入る。というか目立っていた。
彼女の名前は、白河ほたる。少し前に、伝説を作ったカップルの片割れだ。
伝説については、おいおい語るとして…彼女の持っている旗には、゛健ちゃんファイト!゛と書いてあった…

白桜:「全く、どこまでも恥ずかしい連中だ…まさに、バカップル…」

゛健ちゃん゛とは、同じクラスの伊波健のことである。そう、伝説のバカップルのもう一人だ。
で、その伊波だが、今彼はもの凄く活躍している。
第2走者までビリだった我がクラスが、第3走者の伊波にバトンが渡ってから、何とトップに踊り出た。愛の力だな…ってのんきな事言ってる場合じゃないな。

───ドクン!
──ドクン!

俺の心臓は、かなり高鳴っている。

白桜:(伊波…頼むからあんまりプレッシャーを掛けないで欲しい…)

そんな願いも虚しく、伊波はトップのままバトンを繋ぐ…
その際、「後は、頼みましたよ!」と言い放った…
俺は、バトンを受け取ると、全速力で走り出した。コーナーを駆け抜け、いよいよゴールだ!あと、50M…40…30…20……ゴール!
結果は、一位だった。
嬉しくて、気分が良かったので、伊波に話しかける。

白桜:「いや~、凄ぇなぁ~…さすが元サッカー部!」

健:「白桜くんこそ!凄かったよ~!」

そんなやり取りをしているうちに、白河が走って伊波に飛びついた。

ほたる:「やったね!健ちゃん。」

健:「ちょっと、ほたる!みんな見てるって!」

ほたる:「だぁってぇ~、嬉しいんだもん。健ちゃんだって、実は嬉しいんだっぺ?嬉しいんだっぺ?なぁ~?」

この二人は、いつもこんな感じだ。
だから、俺もお約束を実行する。

白桜:「二人とも、相変わらずのラブラブっぷりだね!」

健:「白桜くん!茶化さないで下さい…」

Memories Off~希望の翼~1-2

前回の続き☆

白桜:「だって、本当の事だろ?」

健:「うっ…」

ほたる:「健ちゃん…そんなにほたるのこと嫌なの?」

白河が泣きそうな顔で伊波に詰め寄る。

健:「そんなことないよ!僕は、ほたるが大好きだよ」

健がすかさずフォローを入れる。

ほたる:「わ~い!だから健ちゃん大好き!」

そして、また抱きつく…伊波は抵抗を諦めたようだ。白河の成すがままになっている。

白桜:(頑張れよ…伊波…)

心の中でエールを送る。すると、ある女性がこちらへ近づいて来た。

???:「健くん、おめでとう…」

健:「つばめ先生、ありがとうございます。」

この人は、南つばめさん。この夏に、臨時講師としてこの浜咲学園に来たんだけど、二学期からは正式に採用された。
実は、俺白桜はこの人の事が気になっている。
何故かというと──俺、白桜は…この夏受験を迎え、必須課目の現国を履っていた。そして、最初の授業でつばめ先生は俺達にこう言ったのだ──

つばめ:「私のする授業は、この世で最も不毛なもののひとつです。──」

白桜:(な!?)

つばめ:「そもそも全ての授業は、あなた達に何ももたらしてくれません…」

白桜:「………」

つばめ:「…だから、今すぐ教室を出て勉強を始めて下さい…」

正直あ然とした。
教師の口から、こんな言葉が出てくるとは、夢にも思わなかった。
途中、伊波がいくつか質問したようだが、ショックのあまり覚えていない。

つばめ:「それでは、授業を始めます。テキスト──」

結局俺は、授業を受けた。先生の授業は、とても分かりやすく、他のどんな授業よりも面白かった。そして、彼女の授業を受けるうち、いつしか俺は、彼女に尊敬の念を抱くようになっていた。
そして、現在もその気持ちは変わらない───そう思っていたのだが、俺は彼女の言動・行動に魅了されていた事に最近気付いた。
これは、恋なのだろうか?
最近、その事で自問自答している。
そんなことを考えているうちに、先生が俺に話しかけてきていた…

つばめ:「──くん、白桜くん」

白桜:「あっ、何ですか?つばめ先生。」

つばめ:「大丈夫?何か上の空だったみたいだけど…」

白桜:「すいません。ちょっと考え事をしてたんですよ」

辺りを見渡すと、いつの間にか白河も伊波もいなかった。

つばめ:「悩み事?私で良ければ、相談に乗るわよ?」

Memories Off~希望の翼~1-3

正直、先生に相談出来る内容では無いけど、話が出来るチャンスだと思い、俺はこう答えた。

白桜:「じゃあ、お言葉に甘えさせて戴きます…」

つばめ:「場所を変えましょう。私に、ついて来て下さい…」

俺は、無言で頷くと彼女の後に続いた…

Memories Off~希望の翼~2-1

────。
──────。
────────。

しばらく歩いて行くと、校庭の角にあるベンチにが見えてきた。

つばめ:「ここで、ちょっと待っていて下さい…」

そう言うと、つばめ先生は体育館前にある自販機まで歩いていった…

つばめ:「はい…どうぞ。」

つばめ先生は、コーヒーを買ってきてくれたようだ。

白桜:「ありがとうございます!ってなんじゃこりゃ!?」

つばめ:「もの凄~く苦いコーヒーよ…」

白桜:「叫ぶほどの苦さって…どんな苦さだよ…」

つばめ:「さぁ?」
白桜:「……………(ゴクッ)」

一口飲んでみた。

白桜:「ん?別になんともな───」

その時、じわじわと苦さが伝わって来て…

白桜:「苦っ!!」

つばめ:「やっぱり、叫ぶのね…」

白桜:「何なんですか!?コレ」

つばめ:「新発売…ゴーヤ入りコーヒーと書いてあるわ…」

白桜:「先生は、大丈夫なんですか!?…苦っ!!」

つばめ:「私はレモンティーだから…」

白桜:「!!……謀りましたね?」

つばめ:「別に謀ってはいないわ…」

白桜:「苦っ!!…ちょっと水を飲んできます!!」

───────。
─────。
───。

白桜:「ふう…何とか治まった」

俺は、戻ってくると、ベンチへ倒れ込んだ…

つばめ:「大丈夫?」

白桜:「おかげさまで…大丈夫じゃありません」

つばめ:「日本語がおかしいわよ?白桜くん」

白桜:「誰のせいですか!!」

つばめ:「良かったわ…元気になったみたいで…」

白桜:「これが、元気に見えるんですか?」

つばめ:「ところで、白桜くんの悩み事とは何ですか?」

白桜:「(話そらされたな…ま、いっか…)この前の授業の事なんですが…」

俺は、本題には入らず、当たり障りの無い話から始めた。しかし…

つばめ:「白桜くん?」

白桜:「はい。何でしょう?」

つばめ:「こういう事は、授業中に聞くものなんじゃないかな?」

白桜:「ダメですか?」

つばめ:「ダメではないけど、あなたがしたい話はこんな事では無いでしょう?」

白桜:「あはは…バレちゃいましたか…」

Memories Off~希望の翼~2-2

さすがに、鋭い。
この人は、やっぱり凄い人なんだな。
最近分かった事だけど、つばめ先生は無愛想で冷静沈着に見えるが、実はかなりの人情家である。
この人は、もの凄く生徒思いの先生だ。俺の中では、浜学一だ。なので、観念して悩みを打ち明ける…

白桜:「実は──」

俺は、つばめ先生本人に繋がる事は伏せて、話した。

つばめ:「…なるほどねぇ…。で、白桜くんはどうしたいの?」

白桜:「……告白したいです。」

つばめ:「なら…告白すれば良いんじゃない?」

白桜:「でも…先生と生徒ですし…」

つばめ:「そうねぇ…だけど、あなたがその人の事を本当に好きならば、告白するべきだと思うわ」

白桜「でも、どうすれば…?」

つばめ:「確かに…立場の上では障害はあるかも知れないけど、付き合う方法はいくらでもあるわ」

白桜:「方法ですか…?」

つばめ:「そう。まぁ、いずれにせよ告白しなければ、何も始まらないと思うけど?」

白桜:「………そうですね!あぁ、でもどうやって告白すれば…」

つばめ:「さぁ?それは、自分で考えて…それじゃ、私はそろそろいくわね?」

白桜:「あっ、はい。ありがとうございました!」

つばめ:「白桜くんは、このあと棒倒しでしょ?がんばりなさい」

白桜:「は、はい!ありがとうございます!」

つばめ:「私は、これから職員対抗の綱引きがあるから…」

白桜:「はい!頑張って下さい!」

つばめ先生は、振り返らずに歩いて行った。

白桜:「そういえば、棒倒しの事なんかすっかり忘れていた。あぶないあぶない…」

そんなことをしているうちに、一人の男が近づいて来た。

???:「よ!な~にしてるんだよ。白桜」

白桜:「ん?翔太か…別に何もしてないぞ?」

コイツは、中森翔太。伊波と同じ元サッカー部で、リーダー的存在だったらしい。その性格は、明朗快活の爽やか青年だ。中森とは、入学以来の親友だ。

翔太:「ウソ付け!おもいっきりさっき話してただろ!」

白桜:「見られてたのか…恥ずかしいな」

翔太:「いや…俺も今さっきたまたま見かけたんだよ。ちょうど、先生が離れていくところだったよ」

白桜:「そうなのか…良かった」

翔太:「で、先生と何話してたんだ?」

白桜:「な、何でもないから気にすんな」

Memories Off~希望の翼~2-3

翔太:「そっか…まぁ、話したくないなら無理には聞かないけどさ」

翔太のこういう気の利くとこは好きだ。これまで、親友でいられるのもこの部分が大きい。

白桜:「サンキュー。話したくなったら話すからな」

翔太:「分かってるって!それより、そろそろ出番らしいぞ?」

白桜:「そうだった!じゃあ、行くか?」

翔太:「おう!」

俺たちは、グランドへと戻る。
すると、伊波がこちらへ駆け寄ってきた。

健:「二人とも遅いよ~、何してたの?」

翔太:「悪い!ちょっと野暮用でな」

白桜:「悪いな伊波…つばめ先生に変なもの飲まされて、体調が優れなかったから休んでたんだ…」

健:「それってまさか…ゴーヤ入りの?」

白桜:「そうだ。何で知ってるんだ?」

健:「いや…僕も飲まされたことがあるんですよ」

白桜:「同志だな!」

健:「はい!」

伊波…いや、健とガッチリ握手を交わした。

翔太:「なんだよ?二人して…」

翔太が不思議そうな顔をしている。

翔太:「それより、そろそろ始まるから準備しろよ?」

健:「うん!」

白桜:「分かった」

───────。
─────。
───。

棒倒しは、苦戦したが、何とか2対1で勝てた。
そして、この後は女子によるダンスだ。

白桜:「うちのクラスは、どこかな?」

俺たちは、応援席に帰ってくる。
辺りを見回していると、健の彼女の白河ほたるが隣の健に向かって手を振っているのが見えた。

ほたる:「お~い!健ちゃ~ん!ほたるの事見ててね~?」

こういうしぐさは、確かに可愛い。少し健が羨ましい気もしてくる。なので、少し意地悪を言ってみた。

白桜・翔太:「お~お~…見せつけてくれちゃってまぁ…」
翔太とバッチリ声がハモった。

健:「二人して、茶化さないで下さい!」

白桜:「さ~て…」

翔太:「邪魔者は消えますかね~」

健がガックリしている。少しやりすぎたかもな…

───────。
─────。
───。

しばらくして、女子のダンスが終わり白河が姿を見せた。

ほたる:「健ちゃん、みんな、ほたるのダンスどうだった?」

白桜:「白河、良かったよ!」

翔太:「ほたるちゃんらしい、可愛いダンスだったと思う」

ほたる:「翔たん、白桜くん、ありがとう♪健ちゃんは?」

健:「言葉に出来ない位、良かったよ!」

Memories Off~希望の翼~2-4

ほたる「わ~い!だから健ちゃん大好きぃ~♪」

すかさず抱きつく白河…健はやっぱりなすがままだ。

翔太:「相変わらずのラブラブっぷりで安心したぞ!」

健:「翔太…」

白桜:「まぁ、良いじゃないか、可愛い彼女なんだから大切にしろよ?」

俺は、この二人に何があったかは分からない…だけど、翔太からは色々苦労したらしい事は聞いているし、前に白河のピアノを聞かせてもらったときに感じたんだが、想いの深さはかなりのものだと思う。故に、この二人には幸せになってもらいたいと思っている。

白桜:(俺も頑張んなきゃなぁ~)

幸せそうな二人を見て、俺は決心した。

白桜:(よし!明日、つばめ先生に告白しよう!とその前に翔太に相談でもするかな?)

白桜:「翔太ぁ~、今日終わったらちょっと付き合ってくれないか?」

翔太:「ん?話か?いいけど、今じゃダメなのか?」

白桜:「大事な話なんだ…」

翔太:「…分かった。じゃ、終わったら自転車置き場で待ってるよ」

白桜:「悪ぃな…」

翔太:「気にすんなって!」

こうして俺は、翔太と約束をした。

Memories Off~希望の翼~3-1

第3話 翔太の告白

───────。
─────。
───。

体育祭も終わり日が傾く頃、俺は約束の場所へと向かっていた。あっ、そうそう結果はウチのクラスが優勝…白河と健は…まぁ、ご想像にお任せする。

白桜:「よっし!着いたな」

辺りを見回して、翔太を探す…とそいつはすでに焼却炉の横に立っていた。

翔太:「よっ、遅かったな!」

翔太がポンッと肩を叩く。

白桜:「待たせたのか?悪いな…」

翔太:「罰として、クィクィ星人のUFOをくれ!!」

白桜:「おいおい、勘弁してくれよ…」

翔太:「あはは!冗談だって!」

白桜:「まったく…」

翔太:「悪かったよ。で、話ってなんだ?」

白桜:「実は、南先生の事なんだ…」

翔太:「南先生の事?」

気のせいか、翔太の顔つきが変わったような…

白桜:「そうだ…告白しようと思ってる…」

翔太:「………!!」

今度は、確実に動揺しているのが明らかだった。

白桜:「翔太…どうした?顔色悪いぞ?」

翔太:「………。」

白桜:「翔太?」

翔太:「良いか?白桜…これから話す内容は、他言無用だ…約束出来るか?」

翔太は、今までに見たことのない真剣な眼差しで俺を見ている。

白桜:「分かった…」

すると翔太は、鬱いと自嘲の入り混じった表情で話始めた…

翔太:「俺は小学校の時澄空FCにいて、ライバルだったジェッツとよく試合したもんだった…」

白桜:「ちょっと待て翔太…その話が何で南先生と関係あるんだ?」

翔太:「まぁまぁ…話は最後まで聞いてくれよ。な?」

白桜:「分かったよ…で?」

翔太:「ある日、帰りに乗ったシカ電で彼女…南つばめに出会ったんだ…最初俺は、綺麗な姿に見とれていたんだが、彼女の絶望に満ちた表情を見たと き…子供ながら守ってあげたいと思ったんだ…そして気付いたら俺は、彼女の手を取り駆け出していたんだ。向かった場所は、健の住む朝凪荘。だから、あそこ にはその時の思い出が残っているんだ。とにかく、俺と彼女はその時とても幸せだった…しかし、それも長くは続かなかった。彼女の父親が現れ、彼女を連れ 去ってしまったんだ…その時俺は必死に抵抗したが、大人の力に勝てるはずもなかったんだ。去り際に彼女が見せた、悲しい表情を今でも覚えている。その時俺 は誓ったんだ…いつか必ず彼女を救い出すと!」

Memories Off~希望の翼~3-2

翔太の話を聞き終えた俺は、あまりのショックに言葉を失っていた…

白桜:「………。」

翔太:「どうした?白桜…黙るなよ…」

白桜:「翔太…良く頑張ったな…我慢するなよ。な?」

翔太:「うっ…うぅ…」

この時、俺は親友の本気で泣く姿を初めて見た気がする。いつも明るいクラスのムードメイカーの、意外な一面だった…

───────。
─────。
───。

しばらくして、翔太の嗚咽が治まり、再び翔太が口を開いた。

翔太:「あ~ぁ!みっとも無い所を見せちまったな~」

いつもの爽やかな笑顔を浮かべて、翔太は言った。

白桜:「気にすんなよ~!親友だろ?」

翔太:「おぉ~!心の友よ~」

翔太は、大袈裟にわざとらしく言った。

白桜:「なんだそりゃ?ははは~!」

翔太・白桜:「はははははは…!」

2人で、ひとしきり笑い合った後、俺は言った。

白桜:「翔太…俺も色々考えたんだが、やっぱり南先生の事は好きだ。だから、諦めないぞ?」

翔太:「おう!諦めるなんて言ったら、ぶん殴っているところだ!これからは、親友兼ライバルだ!」

翔太は、いつもの屈託のない笑顔でそう言った…だから、俺はこう言ってやったんだ。

白桜:「そうだな…さっそく明日告白するか!翔太には負けないぞ~?」

翔太:「俺も白桜には負けない!あと、お互い恨みっこは無しな!」

白桜:「分かってるって!」

そして俺たちは、取り留めの無い話をして帰路に着いた…

───。
─────。
───────。

そして翌日───俺は職員室に寄り、つばめ先生に出された課題と一緒に一枚のメモ用紙を渡した。先生は、不思議な顔をしながらもそれを受け取った。

そして昼休み───先生は、約束の場所で待っていてくれた。例の校庭脇のベンチだ。

つばめ:「こんにちは…白桜くん」

白桜:「こんにちは!南先生」

つばめ:「ところで、大事な話って?」

白桜:「この前の話を覚えていますか?」

つばめ:「ええ…好きな女性の事ね?」

白桜:「そうです!実はあれ…」

つばめ:「私の事でしょ?」

白桜:「え!?」

つばめ:「うすうすは、感づいていたわ…」

白桜:「何故、分かったんですか?」

Memories Off~希望の翼~3-3

つばめ:「まず第一に、現国を教えている教師は私を含めて3人しかいない…第二に、その中で女性教師は私ともう一人だけ…そして、決定的なのは夏に来た臨時講師は2人だけ…」

白桜:「バレバレだったんですね…いや、とにかく!俺は、先生が好きなんです!あの夏からずっと…」

つばめ:「ついさっき…翔太くんにも、告白されたの…」

白桜:「そうなんですか…」

つばめ:「ビックリしたわ…あの時の少年が翔太くんだったなんて…」

つばめ先生は、悲しい笑みを浮かべていた…だから、俺は…

白桜:「俺は翔太の様にはなれないですけど、あなたへの気持ちは負けないつもりです!だから、俺と付き合って下さい!」

つばめ:「…………白桜くんの気持ちは正直嬉しい………でも、私は…」

気が付くと先生は泣いていた…俺はどうしていいか分からず、先生の嗚咽が治まるまで待った。

白桜:「最低ですね俺…自分の事しか考えていなくて…」

つばめ:「…そんなに自分を責めないで?私はね…本当に嬉しかったの…でも、怖いのよ。幸せが壊れる瞬間が…」

白桜:「………。」

つばめ:「私は──」

それから俺は、終始先生の話を無言で聞いていた…部屋に監禁されていた事や、実の父親に母親の身代わりにされていた事など、俺の想像をはるかに超えるものだった。

つばめ:「────だから、私にもう少し考える時間を下さい…」

白桜:「そうですか…分かりました。俺が必ずあなたの希望の翼になります!それでこの話は、翔太にもしたんですか?」

つばめ:「えぇ…」

白桜:「そうですか…そうしたら俺は、夕暮れの朝凪荘のクスノキの下で待っています」

つばめ:「ふふ♪翔太くんと全く同じね♪」

つばめ先生がクスリと笑った。

白桜:「え?そうなんですか?って言うか先生今笑いましたよね?」

つばめ:「そうね…何年振りかな?」

白桜:「先生…絶対そっちの方が良いですって!」

つばめ:「そうかな?ふふふ♪」

白桜:「と、とにかく!待っていますからね!」

つばめ:「うん…分かったわ」

先生の笑顔は可憐で美しかった。俺は恥ずかしさのあまり、その場から駆け出してしまっていた。心臓は、毎秒四回のペースで脈打っていた…

Memories Off~希望の翼~4-1

最終話~希望の翼~(白桜編)

あれから、一週間がたった。ここのところつばめ先生は学校を休んでいる。健に頼んで朝凪荘にも行ってみたが、204号室にはつばめ先生の姿は見当たらなかった。

白桜:(つばめ先生は、何処に行ってしまったんだろう…)

俺は、不安ながらも先生の言葉を信じて待つことにしていた。翔太はというと、教室の窓の方を見てぼーっとしている。

翔太:「……………」

白桜:(無理もないか…)

翔太もこの一週間つばめを探し回っていたみたいだった。しかし、やはり見当たらなかったらしい…

白桜:「ふぅ…」

俺は、ため息を付き授業へと意識を向けた。

───そして、昼休みになり学食を食べに行こうとした時、突然健に呼び止められた。

健:「白桜くん、ちょっといいかな?」

白桜:「何だ?健。俺はこれから戦争に行かなきゃいけないんだが…」

健:「ドコの軍隊ですか!!…じゃなくて、大事な話があるんです」

白桜:「…その…なんだ…健の気持ちは嬉しいが、俺にはそんな趣味は…」

健:「あ・り・ま・せ・ん!!」

ほたる:「え!?健ちゃん、白桜くんの事好きなの?ほたる、どうしよう…」

健:「違うよ!!ほたる!!…って、言わなくても分かるだろ?」

ほたる:「分かんないよぉ~?ほたる、健ちゃんの事まだまだ全部知らないし~…」
健:「僕は、ほたるだけだよ…だから、今は白桜くんに大事な話をさせてよ」

ほたる:「わぁ~い♪だから健ちゃん大好き☆」

健:「はぁ…」

ほたる:「ごみんごみん♪ちょっと、健ちゃんをからかってみたかったんだぁ~☆」

恒例のラブラブっぷりを見せつけられ、俺は呆然としていたけど、このままじゃラチが空かないので、先を促す。

白桜:「ところで、重要な話って何だ?」

健:「そうですね…ココでは話辛いから屋上にでも行きませんか?」

白桜:「健…やっぱりそうなのか…そんなに俺の事が…」

健&ほたる:「もう、いいですよ!!」「もう、 いいよぉ~!!」

2人に突っ込まれる。仕方ない…そろそろホントに本題に入るかな。

白桜:「はぁ…分かったよ。行くよ」

俺は、大好物の焼きそばパンを諦め、健たちについて行った。

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──────────────。
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Memories Off~希望の翼~4-2

しばらくして、屋上に着いた。すると、白河が角の方にレジャーシートを敷き、ランチボックスを用意し、健が俺をシートへと誘導する。

健:「白桜くん、ココに座っていいですよ」

白桜:「健よ…ココは君達の私有地ではないぞ?」

ほたる:「まぁまぁ♪細かいことは、気にしない気にしない☆」

白桜:「白河がそう言うなら、まぁ良いが…」

健:「僕は?」

白桜:「ダメ」

健:「何でですか!?」

白桜:「何となくだ」

健:「からかわないで下さい!!」

ほたる:「あはは♪健ちゃん、可愛い~☆」

健:「ほたるまで…」

ほたる:「あっ、白桜くん。コレ食べて良いよ♪」

白河がランチボックスを差し出す。

白桜:「いや、気持ちは嬉しいが、愛妻弁当をもらうわけには…」

ほたる:「愛妻弁当って…やっだぁ~、もう♪白桜くんったら☆」

白河が、照れながら俺の背中をバシバシ叩く。結構イタイ…

白桜:「痛っ!!痛っ!!痛いって白河…」

ほたる:「あっ、ごめんね♪コレ、私のお姉ちゃんが作ったから、大丈夫だよ☆」

白桜:「へぇ~…白河って、お姉さんがいたのか~」

ほたる:「うん♪お姉ちゃんは、料理上手なんだよ☆」

ランチボックスを見ると、確かに凄かった。色とりどりの、サンドイッチが並んでいて、もはや芸術だ。

白桜:「凄いなぁ~…じゃあ、もしかして白河も上手いのか?」

ほたる:「え?ほたる?ほたるはぁ~…頑張ってるよ♪(汗)あっ、そうだ☆健ちゃんには、ほたるが作って来たよ♪」

健:「そうなの?じゃ、そっちをもらうよ」

白桜:「お~お~、見せ付けてくれるねぇ~…2人とも」

健:「だから、茶化さないで下さい!」

ほたる&白桜:「あはははは…♪」

白桜:「ところで、話ってなんだ?」

俺は、サンドイッチをパク付きながら本題を促す。

Memories Off~希望の翼~4-3

健:「そうでした。つばめ先生から、手紙を預かっているんです。これを、白桜くんに渡してくれって…」

白桜:「何!?つばめ先生に会ったのか!!」
健:「直接は会ってないんですけど…朝ポストを見たら、その手紙とメモが書いてあったんですよ。──白桜くんに渡して下さい──って…」

白桜:「そうか…」

ほたる:「…………白桜くんは、本当につばめ先生が好きなんだね」

白桜:「え!?」

ほたる「あはは♪…分かるよ~…白桜くん、つばめ先生の事になると人が変わるもん☆」

白桜:「そうか…バレちゃ~しょうがない!ところで、翔太はもう知ってるのか?」

健:「そうみたいですね。今日会ったら、つばめ先生が朝凪荘に戻って来たのか、聞いて来ましたからね」

白桜:「そうか…俺も頑張らないとな」

ほたる:「ほたるは、複雑だよぅ~…」

健:「そっか~…ほたるは翔太からよく相談されていたんだっけ…」

白桜:「そうなのか…ごめんな白河。でも、俺はつばめ先生が好きなんだ…」

ほたる:「ううん…ほたるも分かるから…好きで好きでしょうがないって気持ち。だから、白桜くんも頑張ってね♪」

白河は、意味深な顔をしてそう言った。

白桜:「サンキューな。白河」

健:「ところで、白桜くんは何で先生を好きになったんですか?」

白桜:「それはな─────」

俺は、先生との出会いから好きになるまでの経緯を簡単に話した。白河も健も、終始真剣に話を聞いてくれた。それからあとは、雑談をしていて、全て片付けが終わった時に、ちょうどチャイムが鳴った。

白桜:「今日は、ありがとな。2人とも」

ほたる:「良いよぉ~☆白桜くんと話せて楽しかったし♪」

健:「そうですよ~。それに、呼び出したのは僕ですから」

白桜:「そうか…じゃ、そろそろ教室に戻ろうか?」

健:「そうですね」

ほたる:「うん♪行こっか☆」

3人とも連れ立って、教室へと戻った。

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俺は、家に帰るとつばめ先生の手紙を読んだ。しかし…

──明日、午後4時。朝凪荘で待っています。南つばめ──

とだけしか、書いていなかった。

白桜:「ははは…つばめ先生らしいや」

俺は苦笑すると、ベッドに身を投げ眠りについた。

Memories Off~希望の翼~4-4

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今日は、つばめ先生との約束の日だ。幸か不幸か学校は休みで、俺は心を落ち着けるために海岸まで来ていた。

白桜:「ふぅ…」

ため息を漏らし海を眺めていると、どこからか犬の鳴き声と少女の声が聞こえてきた。

???:「ちょっと待ってよぉ~…トモヤぁ~!!」

白桜:「あれ?白河じゃないか。どうしたんだ?」

ほたる:「あっ、白桜くん!奇遇だねぇ~♪ほたるはトモヤのお散歩だよ☆」

白桜:「コイツが例のブツか~…どれどれ?」

ほたる:「そうですぜ、ダンナ♪今回のは極上品ですぜ…って、なんでやねん☆ビシビシ!」

白河がおちゃらけたポーズで言う。

白桜:「ぷっ!…はははははは!あははははは…!」

ほたる:「ど、どうしたの?」

白桜:「いや、白河って意外とノリが良いんだなと思ってね。あははははは…!」

ほたる:「そんなに、笑わなくても~…」

白桜:「だって、白河が…なんでやねん!って、あははははは…ひぃ~苦し~」

ほたる:「笑いすぎだよぉ~…恥ずかしいなぁ~もう~」

白桜:「ごめんごめん。ところで、白河は何で散歩なんか?」

ほたる:「今日は、信くんも健ちゃんもバイトなんだ♪それで、トモヤが可哀想だなぁ~って思ってね☆」

白桜:「そうか~…ご苦労様」

ほたる:「ところで、白桜くんは今日つばめ先生と約束してるんだよね?」

白桜:「そうだ。翔太から聞いたのか?」

ほたる:「ううん、翔たんが今日つばめ先生と会うを約束してる事を話してたから…ひょっとしたらと思ってね~♪」

白桜:「そうか、やっぱりな…」

ほたる:「ほたるには、応援しか出来ないけど頑張ってね♪白桜くん☆それじゃあ、まったね~♪」

そう言うと、白河はトモヤに引っ張られながら帰って行った。

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Memories Off~希望の翼~4-5

そして、約束の午後4時になり俺は朝凪荘にやって来た。すると、既に翔太が待っていた。

翔太:「よっ!白桜。遅かったなぁ~」

白桜:「バカ言うな!時間通りだ!」

翔太:「ははは…冗談だって!」

そんなやりとりをしている内に、つばめ先生がこちらにやって来た。つばめ先生はクスノキの木の下まで行くと、僕たちの方に向き直った。

つばめ:「2人とも、お待たせしました」

白桜&翔太:「はい」

つばめ:「私は、あなた達から告白を受けました。そして、色々考えたのです。今日は、その答えを伝えにココへ呼びました」

白桜:「はい」

翔太:「俺達も、その覚悟でココに来ました」

そう言って俺たちは、どちらともなく目を閉じ右手を差し出した。

つばめ:「そうですか…では、私の考えを話しましょう。まず、翔太くん…あなたは、私を導く風となると言ってくれました。そして、あなたがあの時のレモンの少年であることも分かりました。私は、そんなあなたにとても感謝しています」

そう言うとつばめ先生は、一息ついて俺に向き直った。

つばめ:「そして白桜くん…あなたは、私の希望の翼になると言ってくれました。更にあなたは、今の私の事を真正面から受け止めてくれた。そう…あの、メリッサの様に」

つばめ先生は、一旦メリッサを見て俺達の方へと向き直る。

つばめ:「そして、私の結論ですが…私は…」

つばめ先生が、こちらに向かって歩いてくる音がする。俺の心臓は、毎秒3回のペースで高鳴っていた。そして────

つばめ:「白桜くん。あなたを選びます」

俺の手に、つばめ先生の暖かい手が握られた。俺はゆっくり顔をあげると、つばめ先生の顔を見た。

翔太:「良かったな!白桜!」

翔太が祝福の声を上げる。俺は、複雑な気持ちで言った。

白桜:「正直嬉しいよ。でも…」

翔太:「おっと、それ以上は言うなよ。俺が惨めになる。それに俺は、つばめ先生が幸せならそれで良いんだよ」

白桜:「サンキューな。翔太」

翔太:「お礼は、クイクイ星人のメガネで手を打とうじゃないか!じゃあな!白桜」

Memories Off~希望の翼~4-6

そう言うと翔太は、最後まで爽やかな笑顔で去っていった。しかし、俺は知っていた…奴がクイクイ星人の話を持ち出す時は、自分の気持ちを誤魔化しているということを…

白桜:「全く…どこまでも不器用な男だ。ホントに、ありがとな」

つばめ:「そうね…でも、彼なら大丈夫よ。彼には、現実を受け止めて行ける強さがあるわ」

つばめ先生は、そう言うとにっこりと微笑んだ。俺がその姿に魅せられていると、つばめ先生はいきなり俺に口付けをした。俺は一瞬ビックリしたが、そのまま目を閉じつばめ先生の背中に手を回した。

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長い口付けの後、俺はつばめ先生に言った。

白桜:「つばめ先生…本当に、俺で良かったんですか?」

つばめ:「いいの。それに、[つばめ先生]じゃなくて[つばめ]って呼んで」

白桜:「はい、つばめさん」

つばめ:「う~ん…出来れば敬語とさん付けもやめて欲しいなぁ~」

つばめがからかう様に言う。

白桜:「うっ、つ…つばめ」

つばめ:「何かな?白桜くん」

白桜:「愛してるよ」

つばめ:「私も…愛しているわ」

そして、また2人は長い口付けをした。愛を確かめ会う様に──────

fin…

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