D.C.Ⅱ 二次創作ショートストーリー バレンタインSP ~月島小恋編~「賑やかなバレンタイン」

ブーッブーッ。ブーッブーッ。

「う…うぅ~ん…」

俺は、携帯のバイブレーションで目を覚ました。

「ふぁ~…」

俺は、1つ大きなあくびをすると携帯のディスプレイを見た。
着信画面には、”小恋”と表示されている。

「もしもし?小恋か?」
「うん」
「何か用か?」
「え?何言ってるの義之…今日はバンドの朝練でしょ?」
「は?」
「だから~…バンドの朝練だってば~」
「マジ!?」
「うん、義之が今日起してくれって言ったんだよ?」
「わ、悪い!今、すぐ行くから待ってて!」

俺は、急いで制服に着替えると芳乃家の玄関に鍵を掛けて、
急いで小恋の元へと向かった。

「悪い!すっかり忘れてた!ごめんな」
「まぁ、渉くんとななかには連絡しておいたから」
「ありがとう。助かるよ」
「ううん、この位どうって事無いよ~」

俺は、準備の良い小恋に感謝しつつ、学校へと急いだ。

学校の音楽室では、ななかが先に練習しているらしく、
歌声が聞こえて来た。
俺と小恋はちょうど終わるタイミングを見計らって、
音楽室への中に入っていった。

「遅れてごめん!」
「あっ、義之くん♪おそよーございます♪」
「あはは…悪いね…ホントに」
「気にしなくていいって♪ね?小恋」
「うん」
「あれ?そう言えば渉は?」
「今、トイレに行ってるよ?後輩の女の子から義理チョコ
を貰ったらしいけど…渉くんが言うには”ギリ”チョコ
なんだって。どういう意味なのかな?」
「さぁ…本人に聞くしかないんじゃないかな?って
今日バレンタインだったんだな…すっかり忘れてた」
「あははははは…」

そんなやり取りしているうちに渉が帰ってきた。

「おはよう、渉。遅れてごめんな」
「いいよいいよ、気にすんなって!」

そう言って肩を軽く2回叩かれる。
こういう所をもっと前面に出せばモテるんじゃないかと
思ったのは内緒だ。

「さて、それじゃ早速始めるか!」

チッチッチッチッ、ジャジャジャ、ジャジャジャ――――

渉の合図で演奏が始まり、俺達は始業まで練習をした。
ちなみに、渉が貰ったものは”クッキーと思われるもの”との事だった。
チョコチップみたいなものが入っていたみたいで、
微かにチョコの後味がした為”ギリ”チョコと言ったらしい。

お昼休み。俺は、購買で買ったパンを食べていると、
雪月花の三人が俺の机に寄ってきて、それぞれ周りに陣取った。

「義之、失礼するわね」
「よっしゆっきくん♪あ・そ・ぼ~♪」
「あはは…ごめんね?義之」

そう言って小恋が遠慮がちに俺の後ろの席に座ると、
杏が無理矢理に俺の隣に小恋を座らせた。

「ダメよ、小恋。あなたは、ココに座るの」
「ちょ、ちょっと、杏ってば~」
「………(何なんだ?一体…)」

場違いな挨拶をかます茜に突っ込みを入れようと思っていたが、
茜の思惑通りにしてやるのも癪なので敢えてスルーし、
杏に話し掛ける事にした。

「何を企んでいるんだ?杏」
「別に…何も企んでないわ」
「お前が小恋を隣に座らせる時って何かしらあるんだよな~」
「気のせいでしょ。それより小恋、渡さなくて良いの?」
「えっ?まだ、良いよ~」
「ふ~ん…でも、あんまり遅くなると渡すチャンスなくなるわよ?」
「あ、あはは…」
「二人で何コソコソしているんだ?」
「ちょっとちょっとぉ~、なぁ~んでみんなして無視するのかな~」

俺が杏の企みを追求しようとした時、茜が不満そうに割って入って来た。
茜は、ずっと突っ込み待ちをしていた様だった。
俺は、追及する気を削がれた為、それ以上詮索するのは止めておいた。

放課後。
今日もバンドの練習がある俺達は音楽室へと向かっていた。

「で、なぜお前等がいるのかな?」
「あら?居ちゃ悪いかしら?」
「だってだって~…今日は構われ足り無いんだも~ん!絡みに来ちゃった♪」
「渉と白河さん、それに小恋にも了承を得ているわ」
「マジかよ…」

それなら仕方ないと諦めて、俺達は演奏の練習を始めた。

今日は観客もいるから一回目から通しでと渉が言ったので、
俺達は通しで最後まで演奏した。
演奏が終わると、杏と茜が賞賛の声を上げた。

「すごいすご~い♪」
「やるわね…凄いじゃない。正直、驚いたわ」
「そんな事無いと思うけど」
「謙遜ね」
「うん♪うん♪」

こんなに褒められるとは思わなかったので、俺は少し照れてしまった。
それから、杏と茜はしばらく俺達の演奏を聞いていた。

一通りの練習が終わり、帰る前に一息入れようとななかが言ったので、
今俺達は談笑していた。

「でも、義之くんのギター本当に良いよねぇ~♪」
「そうね」
「特に、こう…弾く所が良いんだよね♪プロっぽくて♪」
「あ~♪それ分かるよ~」
「んじゃぁ~オレはオレは?」

渉がここぞとばかりに小恋に主張する。

「う~ん…どうかな~…」
「うわ、ビミョーな反応だなオイ」
「あはは…」

芳しくない小恋の反応に渉ががっくり肩を落とす。

(ちょっと不憫だな…)

そう思っていると、渉はちょっと旅に出てくるわ…と言って
音楽室を出て行ってしまった。相当ショックだったらしい。
そんな渉を、ななかと珍しく杏と茜が渉を慰めに行った。
その為、この場には俺と小恋だけが残される。

「小恋は行かないのか?」
「う、うん…」
「そっか…まぁ、あいつのアレはいつもの事だからな…」
「ところで義之…今の内に渡したい物があるんだけど…いいかな?」
「ん?何だ?渡したいものって…」
「これ…なんだけど…」

そう言って小恋が差し出したのは、小さな紙袋だった。

「これ…あ、そうか!今日は、バレンタインデーだったんだっけ?」
「うん…それでね…よ、義之の為に手作りにしたんだよ?」

そういう小恋の顔は真っ赤だった。
そんな小恋の様子に俺も何だかドキドキしてしまった。

「何だ…その…ありがとな」
「ううん、受け取ってくれて良かったよ」
「それでね…今日は義之にちょっと聞いてもらいたい事があるの…」
「えっ?」

俺は、いつもと違う小恋の様子に少し戸惑ったが、
小恋の真剣な様子が伝わって来たので、落ち着いて聞く事にした。

「あの……ね…」
「………」
「………」
「………」

しばらく無言の時間が流れ、小恋が決心したように口を開いた。

「私…私…ずっと義之の事が好きだったの!」
「!」
「ずっと…ずっと好きだった…だけど、なかなか言えるチャンスがなくて…」
「………」
「今日こそは…今日こそは…そう…何度も思ったの…」
「………」

突然の告白にびっくりした俺だったが、小恋の真剣な想いを
受け止めたいと思い、小恋の目をきちんと見据えた。
小恋の目には、今にも零れ落ちそうな程に涙が溢れていた。

「だから…だからね…今日はちゃんと…伝えたいと思ったの」
「小恋…」

小恋の目からは、もう収まりきらなくなった涙が溢れていた。
それは、まるで…今まで秘めていた想いが溢れ出しているようだった。
俺は目の前で小さく震えながら想いを伝える小恋を愛おしいと思った。
だから俺は…

「小恋…ありがとう…俺も…小恋の事が好きだ」
「えっ?」
「今まで気付かなくて…気付いてやれなくて…ごめんな?」
「義之…義之ぃ…う、うぅ…良かったぁ…良かったよぉ…」

小恋の目は、涙で溢れていた。
俺は、そんな小恋を泣き止むまで優しく抱きしめていた。

しばらくして、泣き止んだ小恋は俺の顔を見上げて笑ってくれた。
小恋は、もう大丈夫な様だ。

「義之、ありがとう。私…嬉しいよ…」
「あぁ、俺もだよ」
「キス…したいな」
「小恋…」
「義之…」
「………」
「………」

今、正にキスをしようとしていたその時…

「ちょ、ちょっと渉くん!落ち着いて!あっ、きゃあっ!」
「う、うわぁ!」

ガッシャーンと音がして、音楽準備室の扉が開いて、
渉、ななか、杏、茜、そして何故か杉並までがそこにいた。

「あ……」
「………」
「あ、あはは~…どぉも~…」

俺たちと目が合って、渉達が気まずそうな笑みを浮かべる。

「何やってんだお前等…」
「あはは…みんな居たんだ?」
「皆、気になっていたのよ。ごめんね、小恋…邪魔しちゃったみたい」
「気にしてないから大丈夫だよ~」
「でも、凄かったよねぇ~♪」

茜が感嘆の声を上げると、杏が小芝居を始めて茜がそれに便乗した。

「小恋…ありがとう…俺も…小恋の事が好きだ」
「えっ?」
「今まで気付かなくて…気付いてやれなくて…ごめんな?」
「義之…義之ぃ…う、うぅ…良かったぁ…良かったよぉ…」
「義之、ありがとう。私…嬉しいよ…」
「あぁ、俺もだよ」
「キス…したいな」
「小恋…」
「義之…」
「………」
「………」

俺と小恋のシーンを再現されて、俺と小恋は顔が真っ赤になっていた。
そんな俺と小恋にななかが声を掛けて来た。

「義之くん、小恋、おめでとう♪」
「あ、あぁ」
「ありがとう」
「さて、義之と小恋には是非ともさっきの続きをしてもらいたいわね」
「は、はぁ!?」
「えっ、えぇ!?」

杏の突拍子もない発言に、俺と小恋はビックリする。

「さ、さすがにこんな衆人観衆の前では、無理だろ…」
「あはは…さすがに、恥ずかしいよね」
「義之くん、男ならぶちゅ~っと行っちゃいなさい!」
「む、無茶言うなって…」
「そんな事言わずに…さぁさぁ♪」
「ほら、小恋も」

そう言って、茜が俺の背中を杏が小恋の背中を押して、
俺たちの距離は再び至近距離となった。

「………」
「………」

俺と、小恋は顔が真っ赤のままお互いに見合わせていた。
多分、キスしないとダメなんだろうな…と俺は思った。

「わかった!わかった!やるよ、やってやるさ!」
「よ、義之?」
「小恋、行くぞ?」
「う、うん」

そして、数瞬ためらった俺だったが、小恋の唇にキスをした。

「うわぁ~…」
「はぁ~~~…」
「やってくれるわね」

皆が、その光景に釘付けになっていた。
キスが終わって、小恋の唇から離れると、
皆が拍手をしていた。
俺と小恋は、そんな拍手に包まれながら笑っていた。

「皆、ありがとな」

この賑やかな友人達と恋人になった小恋を、
俺はいつまでもずっと大切にして行きたいと思った。

Fin.

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